
日本語の文章は読めるけれど、相手と話すときにどこまで伝えられるのかは分からない。そんなときは、「自分は何級か」を決める前に、何のために会話力を知りたいかを考えてみてください。
次の学習目標を決めるなら自己チェック、実際に伝わるかを知るなら先生との会話、一定の評価基準に沿った結果を見たいなら会話テストが候補になります。それぞれで確かめることが違うため、目的に合わせて組み合わせると、結果を練習に使いやすくなります。
最初に、何のためにレベルを知りたいかを決める
「日本語が上手になりたい」だけでは、何を確かめればよいか迷います。買い物で希望を伝えたいのか、授業で質問したいのか、予定を相談したいのか。今、困っている場面を一つ選んでみましょう。
次の表は、方法を選ぶための編集上の整理です。試験の公式な比較表や、会話レベルを判定する尺度ではありません。
| 知りたいこと | 候補になる方法 | 結果を見るときの確認点 |
|---|---|---|
| 自分ができると思うこと、練習したいこと | Can-doによる自己チェック | 実際に経験した場面を思い出して答えたか |
| 相手に伝わったこと、助けが必要だったこと | 先生などとの会話と振り返り | どんな課題で、どんな助けを受けたか |
| 評価基準に沿って見た会話力 | 会話テスト | 何を測り、結果が何を意味するか |
すぐに一つに決められなくても構いません。自己チェックで迷った項目を先生との会話で確かめる、という順番でも始められます。
自己チェックは、できる場面を言葉にする
Can-doは、日本語を使ってできることを文章で表すものです。文部科学省が案内する「にほんご チェック!」は、表示された活動がどの程度できるかを自分で答え、学習目標づくりに役立てるためのツールです。文部科学省「日本語能力自己評価ツール」の説明
ここでの出発点は、自分による振り返りです。相手と話した様子を評価者が見た結果とは、分けて受け取りましょう。
例えば、次のように自分が使う場面を書き出せます。以下はこの記事のために作った架空の練習例で、公式のCan-do項目、試験問題、レベル別の基準ではありません。
- 店で、欲しい品物の大きさや色を伝えられる。
- 友人と予定を相談し、都合が悪ければ別の日を提案できる。
- 説明の分からない部分を聞き返し、内容を確認できる。
「できる」と思ったら、最近いつできたかも思い出してみてください。品物を指しながらなら伝えられた、相手がゆっくり言い直すと分かった、という条件も書いておきます。助けを受けたことを隠す必要はありません。どの条件ならできるかが、次に確かめる内容になります。
まだ経験していない場面は、「未経験なので分からない」と別に残します。自分の練習ノートで、未経験の項目をすべて「できない」と扱う必要はありません。公的ツールを使うときは、そのツールの回答方法に従ってください。
先生との会話では、相手の返事まで含めて確かめる
自己紹介を一人で話せても、途中で質問されたときに答えられるかは、別に確かめたいところです。先生に頼むなら、「会話力を見てください」に加えて、困っている場面と知りたいことを伝えましょう。
国際交流基金は、会話テストの方法としてインタビューやロールプレイを紹介しています。ロールプレイは、場面と役割を決めてやりとりする方法です。国際交流基金『まるごと』の教え方・Q82
予定相談を確かめる架空例なら、自分は友人を誘う役、先生は最初に提案された日には都合がつかない役にします。「土曜日に会いませんか」と誘った後、断られたらどう応じるかまで話します。用意した誘いの文を言えたことと、返事を受けて別の日を相談できたことを分けて見るためです。
終わった後は、「上手でしたか」だけでなく、「別の日を提案したことは伝わりましたか」「どこで先生の助けが必要でしたか」と聞いてみてください。言えなかった表現の一覧だけでなく、伝わった内容も残せます。
先生が単語を教えたのか、質問を言い直したのかも記録します。一つの場面でできたことが、そのまますべての会話に当てはまるとは限りません。生活で必要な別の場面も、順に確かめていきましょう。
会話テストは、結果の意味を確認して選ぶ
会話テストを検討するときは、名前や点数だけで選ばず、何をする試験か、どの基準で評価するか、どんな結果が返るかを確認します。「日本語レベルチェック」という名前でも、自分でできることを答える方式と、実際の発話を評価する方式では、結果の受け取り方が違います。
例えばJLPTの公式説明では、CEFRの参考表示は言語知識・読解・聴解についてのもので、話すことや、やりとりの能力は含まれません。持っている資格の結果を会話力として読み替えず、会話は会話で確かめる必要があります。JLPT「CEFRレベル参考表示」3(3)
結果を受け取ったら、全体のレベルに加えて、その説明が自分のどんな発話に対応するかを見てください。説明だけでは分からない場合は、評価の理由をどこまで確認できるか、提供者に尋ねましょう。学校などに結果を提出したい場合も、先に提出先が求める資料を確認します。
J-GRADEは、日本語の会話能力を判定するためのアセスメントです。どのような結果を見るのかを知りたい方は、J-GRADEのレポート例を参考にしてください。会話力の結果から、性格や人物像、採用の合否まで判断するものではありません。
結果を、次に練習する一場面へつなげる
チェックの後は、点数を上げることだけを目標にせず、「次はどのやりとりをできるようにするか」を一つ選びます。
予定相談の例なら、誘うことはできたけれど断られた後に止まった場合、次の練習は別の日を提案することです。先生が言った日付を聞き取れなかった場合は、日付を聞き返して確認する練習から始められます。同じ「相談が難しかった」という結果でも、練習する内容は違います。
今日分かったことを、場面と助けの内容を添えて残しておくと、後で振り返る起点にもなります。学校などでJ-GRADEの活用を相談したい方は、PLUS IMPACTのお問い合わせフォームから「J-GRADEについて」とお知らせください。
